神経に達しそうな深い虫歯治療を行う時、虫歯を全て取ろうと試みると、歯の神経が露出してしまい、神経を取り除く治療(抜髄治療)を行なう必要が生じます。

そのような場合の治療法として、神経に近い部分の虫歯だけ残して修復する方法があります。「虫歯を残して大丈夫なの?」と疑問に思う方は多いかもしれません。
そこで、今回は虫歯を残す根拠を述べたいとおもいます。

虫歯の主な栄養源は、口の中にある糖分です。虫歯の穴を完全に封鎖してしまえば、虫歯が歯の中に残っていても、栄養源をたたれてしまうため、虫歯菌は死んでしまったり、環境が変わることにより、虫歯菌の種類が他の種類の菌に交代します。
そうした、根拠で行なわれた、数多くの「虫歯を残す虫歯治療」は、虫歯を全て取りきる治療と比較して、歯の神経のダメージは有意に少ないとの総合的報告があります。
Complete or ultraconservative removal of decayed tissue in unfilled teeth
Australian Dental Journal Volume 54, Issue 3, pages 274–276, September 2009

こちらの論文は、虫歯の治療を2回に分けて行なう方法が紹介されています。絵が多いのでビジュアル的で分かりやすいと思います。
1回目の虫歯治療で残された虫歯が2回目の治療時には固く変色しており、進行が止まっている様子が伺えます。
The treatment of deep dentine caries lesions
こうした2回に分けて行なう虫歯治療をstepwise excavation 直訳すると「段階的穴掘り」と呼んでいます。